ナマ舞台は強烈な麻薬


  2002年 8月24日(土)
 幕が開くと、下手に緋毛氈のかかった床机が2つ。向かって左に吉さま、右に恒例の和服姿 の女性司会進行さん。吉さまは“吉さま”司会進行女性は“司”で書いていきます。 吉さまはブルーグレーの着付けに羽織、袴は薄いグレーでした。純白の足袋が目にしみました。
 下手から登場。司が、「お暑いなか、ありがとうございます。あの、おのみものでも?」 吉さま@「え?いいんですか?おーい、きちしろう(?)くーん」と、黒衣姿のお弟子さんが 湯のみにお茶もってやってきまふ。
司: 夏休みはどうすごされましたか? 吉さま:ええ、テレビの仕事で京都へ。大文字焼を見ました。ホテルが、ちょっと東大文字    が見える部屋だったので、字が浮き出てくるところが見たいと思って、8時ごろから待    機して、テレビつけて、ルームサービス食べたりしてたら、もうついてました(笑)    子供の頃の記憶では、もっと長かった気がするんですが。。送り火だからそんなに長    くないんですね。きれいでしたけど。 司:きっと何かいいことがありますね。京都の暑さはどうでした? 吉さま:ええ、大変な暑さでした。毎年のことなんで、毎年、「今年は暑いねぇ」なんて。     しょうがないですね。5月うまれなんで、夏は好きです。冬の方が苦手ですね。     僕、汗っかきで、冬でも汗かきますけど、9月は残暑で舞台で汗かいても、夏は     大手をふって汗かけますから。     体力が勝負ですからねぇ。舞台で汗をかくことが健康法です。 司:夏の思い出といいますと? 吉さま:ええ、はい。温泉へ。修善寺へ初代と行きました。子供のころ。そのころ、夏芝居は     なくて、お休みだったんですね。桂川で遊んだことなど覚えています。 司:前にもうかがいましたが、絵がお好きで? 吉さま:ええ、はい。ある雑誌に頼まれて今描いています。 司:水彩ですか? 吉さま:・・・えっと、油絵は毎月のことで大変なんで水彩で。。・・・コンセプト・・     っていうんですか?僕も初めてきいて辞書ひきましたけど。(笑)     前にカットを描いてるんですね。文章を描いたものに。それで、友だちの絵描きの     先生に、12ヶ月あると、○月と△月では、まったくタッチが違うと。     「これは私が描いたもの」と一目でわかるようでないといけないと。そしたら、     コンセプトをきめろと。雑誌社の方は、街の雑踏、街の風景を望んでいたのですが、     それには芝居を抜けてスケッチに行かなくてはなりませんし、「おい、吉右衛門、     どこ行った?」「スケッチ行って帰ってきません」で、幕が開くのが遅れたりすると     大変なので、身近な歌舞伎芝居をと。和紙に水彩で描く歌舞伎の役々で。 司: ・・・それは、どこでいつから拝見できるんでしょう? 吉さま:・・・どこだっけかな?(笑)・・・婦人画報・・かな?あ、はい。正月からです。(ちと何画報が       自信なさげ) 司:それは楽しみです。皆さんも、○○画報ということで、発売になったらめくって確認なさって    ください。(笑) 司: 絵はいつから? 吉さま: はい。学校あがる前から好きでした。 司: ああ、では、夏休みの絵日記とかお好きでした? 吉さま: 好きでした。学校の宿題も、絵日記で。 司: 一番感銘を受けた絵はなんですか? 吉さま: ・・・色々あります。いいなーと思うもの全部。印象派、その前後ですね。      はじめに見たときと、色々な体験のあとに見た絵と、印象は違うんですね。      僕は色々好きですけども、パッとその絵の前に立って、恋をする。      ゾクゾクザワザワ、胸騒ぎのするような絵がいいですね。
司:   では、九月の舞台についてですが 牡丹灯籠を?久々だそうですが。 吉さま:これは怪談劇でして、円朝さんがつくり、五代目菊五郎が歌舞伎につくったと。     まあ、こわがっていただけますれば。悪党の伴蔵と、いいもんの幸助というのを     やりますが、善と悪を演じわけると。幸助はいいもんでいい男で、年も21くらい。     伴蔵はワル。それが困ったことには、五代目は、大変な美男で、でてきただけできれいと。     伴蔵はワルなんで、大丈夫ですが、ねぇ。でてきただけでキレイでいいもんで、20くら     いの。それが出せるかどうか。変わらないと困る。どっちだかわかんないと劇評されると     穴に入りたくなります。(笑)悪い人はつくれるんですね。自分で工夫できる。いい人は・・・     何でしょうねぇ。人はみかけによらない。。(いい人なら)私、このまま出ればおっけーと。     (そでをやっこだこさんのように。お茶目にポーズ) 司: 悪と二枚目とどちらがお好きですか? 吉さま: そりゃ、もてる二枚目の方が好きですよ。でも、やらしてもらえない。(笑)      ・・・つくっていける悪役が好きです。 司: そのつくっていく過程でエスカレートしていくことは? 吉さま:ありますよ。どんどんどんいじめて。「そんなにまでしなくても。。」と思われる     ように。 司: 色悪とは違いますね? 吉さま: ええ、そうですね。悪でも落語からとったものなので、面白いところもあり、      三枚目でもあるという。 司: 籠釣瓶ですが、雀右衛門さんが八ツ橋で。。 吉さま: はい。雀右衛門おじさんは、一世一代でしょうねぇ。光栄でございます。 司: あの華やかな花魁道中がありますよね、あの道中のときはどんな気持ちで? 吉さま: もうびっくりして、世の中にこんなものがあるのかと。 司: 八ツ橋によって、運命を狂わされるというか。。 吉さま: ・・・花魁でなくても、男の人は女の人に人生を狂わされることがあるでしょう。      女性には、そういう気がなくても、惚れるということはそういうことでしょうねぇ 司:そういえば、雀右衛門さんも△○(新聞だったか、雑誌だったか???)でそのようなこと   をおっしゃていました。かわいいと思われる女になろうと。そのためには、公演前から準備して。 吉さま: おじさんは、そうでございますね。・・・でも、おじさんでございますからねぇ。。(笑) 司:一世一代は大変ですか? 吉さま:ええ、はい。歌右衛門のオジサマもそうだったし、大変光栄でございます。 司: ええ、人間国宝で・・・ 吉さま: ・・・国宝は大変。傷つけちゃいけないし。。修復つったってね。。(笑)     修復ききませんから。。・・・頭も重いし、大変な体力だと思いますよ。     女性の年を言ってはいけないけど、おじさまも、80・・・なんなんと。。      長年の修行のたまものなんでしょうね。
 其のニは、明日。2002年 8月27日