司:そんな大変そうには見えませんね。とにかくあでやかで。あと、一番の見所は?
吉さま:あれが、大変だなと思わせてはダメなんですね。見染めですね。見染めの
    一目惚れのところが、眼目といいますか、一番の見所ですね。

司:えっと、馴染みになって、愛想づかしされて、その場では許して帰ってきますよね?
  そのあと長い間・・どれくらいでしょう?
吉さま:はい。えと、四ヶ月ですね。

司:四ヶ月。その四ヶ月の間に許そうとか思わないんでしょうか?四ヶ月恨みつづける
  の大変ですよ〜。
吉さま:そうですね。(笑)そのエネルギーをどっか別のとこにとねぇ。あれは、ただ、
    色恋・・色恋だけでなく、商売仲間の目の前でとか、社会的地位までめちゃめちゃ
    にされてしまいますからねぇ。色恋だけの問題だったら、許していたでしょうねぇ。
    ですから、女性は一言が大変なのでお気をつけください。(笑)

司:そして、殺しの場面ですが、斬りつけて解放されるんでしょうか?
吉さま:あれは、本身を使いますからねぇ。普通は、竹光。刃はつぶしてるけど大変。
    んー、どうなんでしょうねぇ。僕は人を斬ったことがないので、わかりませんが
    本身を使うことによって、緊張感が出るってことでしょうね。それに、本身を
    使って当たったら、いくら雀右衛門の叔父さんでもねえ。。大変です。(笑)
    ・・・想像の世界だけど、花魁の死に方、って言ったら変ですけど、斬られて死ぬ
    ときも美しく・・・美女と野獣じゃないけどその対比を出せたらいいですね。

司:  あの場面はひきづりこまれていく感じなんですが。。
吉さま:・・・遊んでいただけると(芝居の世界に)ありがたいですね。「あ!あそこ間違った!」
    とか、研究でなく、遊んでいただけるとありがたいです。

司:劇評のように見てる方もいらっしゃいますね。あと、劇評など読まれますか?
吉さま:そういう方もお客さまですので、どうすれば惹き付けられるかと。昔は読まなかったんで
    すが、最近、褒めてくださいますことが多いので読みます。笑)

司:HPなども、色々あって、感想などもありますね。見たりなさいます?
吉さま:・・・やり方がわからないからねぇ。(笑)(キーボードたたく動作)あ、はいはい。
    あるみたいですね。いいんじゃないですかね。いろんな方があーでもないこうでもない
    って感想を言って、そこでまた交流がうまれて。昔だったら考えられませんけども。
    僕の私生活を暴露されたりは嫌ですけど(笑)歌舞伎のことですからね。いいと思います。

司:  そうですね。いろんな交流も広がって。・・・次に10月は忠臣蔵の通しだそうで?
吉さま:・・・今は、ちゅーしんぞーと読む方もいるらしいですね。

司:???え、そんな?ほんとですか?
吉さま:ええ、そうらしいですよ(笑)・・・仇討ち・・・なぜ、それが、今の世まで受けているの
    か?ってことですよね。・・・巨大なものに反抗した小さな人の話、歌舞伎芝居というのは、
    庶民の芝居ですから、忠臣蔵を見ていただいて、溜飲をさげていただければ言うことはな
    しですね。

司:あの、私思うんですけど、忠義というか、男性が男性に惚れるというか、大石が浅野内匠頭
  に寄せる思いってそういうものが・・・ヘンな意味じゃないですよ(笑)
吉さま:ええ?ああ、そうですか。(笑)・・・

吉さま:んー、僕ねぇ、何故今も残ってるかというと、家老というのはお家大事の役職でしょ?     それが、なぜ仇討ちをしたか、ひとつは、大学、内匠頭の弟さんですけども、への     相続、それがノーだったから、次に考えたのが仇討ち。テロとか色々言われますけど     も、忠臣蔵といえば、大石→浅野と残っている。あのくらいの大名でね、全国的に     名前が残っている。すごいことですよね。 司:後世に生き様を残すため。。と? 吉さま:(得たり)そうなんです。僕もそう思う。 司:だから、大石は内匠頭を愛していたのでは? 吉さま:うーん、吉良さんのが、領主として上っていう話もありますし、内匠頭がどういう殿     様だったのか・・・大石の内匠頭への思い、それはわかんないけど、浅野家って名前を     後世に残すってことじゃないですか。・・・吉右衛門は・・・僕の代で終わりますけど     も、後世に残る名にしなくちゃいけないし。 司:今、ビデオや、色々な資料がキレイに残りますから。 吉さま:それ見て「何だ、これ?」って言われたらしょーがないし、死ぬまで努力はいたしますです。     はい。 司:えっと、初代の記念日というか、近いとか。 吉さま:ええ、来年の9月で没後50周年なんですね。 司:何か構想は?・・・コンセプトとか?(笑) 吉さま:いえいえ、ないんです。ただ、息子が父親の50回忌をやると、まあ、僕の場合は養子です     けれども、・・・重い荷物、重いなあと感じたこともあるんですね。50年の法事の役目を     終われば、少し休ませていただいて、自分を振り返ってみようかなあと。自分はどういう     役者か、どんなことがしたかったのかを考えようと。 司:嫌だ、辛いと思われたときは? 吉さま:・・・しょっちゅう、やだ・・・(笑)うーん、意地とか張りとかそういうもんかなあ。     自分がどうとか、そういうよりも、親に言われたことは守るというか、「あんたは二代目     を継ぐんだからしっかりしなさい」と、つい「はいっ」って。いい子でしょ?(笑)     今はそうはいかない、自分で決めたことじゃない、生んでくれっていって生まれたわけ     じゃないとかね、言われちゃうし。     「継げ!」も何も、養父をしのぐ役者になれとか言われても子供の頃はわからない。     でも、「はい」って。そういうものだと思ってきましたからねぇ。評判が悪いと自分が     いけないんだと責めたり。 司:  行く道が決められてしまってプレッシャーに・・・ 吉さま:ええ、でも、友だちに「波野はいいなあ。就職きまってて」なんて言われて     「うんそうね」なんて。 司:・・・けっこう、単純ですね(笑)何になりたかったですか? 吉さま:はい。単純です。(笑)絵描きか・・・仏文のね、なにかになりたかったかな。     今は世襲がなくて、若い人は一から決めなくちゃいけないので、偉いなあと。     僕にはその勇気がなかったんですね。今はね、友だちのような親子関係とかが好まれる     ますし、先生と生徒でもそうでしょ? 司:・・・波野家では? 吉さま:・・・ええ、私は、父親!・・・威厳はなし(笑) 司:あはは。10月が歌舞伎座で、あと年末年始のご予定は? 吉さま:正月2日にテレビ東京で放送が、え?忠臣蔵をやりますんでね、10月と同じ。ええ、     一応通しで。半分は撮りましたので、11月であと半分撮ります。     いつもは、夏に海外旅行へ行くんですが、そういうわけで行けませんでしたので、年末に     行きたいなあと。・・・どうなるか?財務・・・、うちの財務長官に聞いてみないと。(笑) 司:どこへ行きたいですか? 吉さま: 僕は海辺とか、南の島みたいなところがいいんですが、女房も娘も都会がいいという、      僕は荷物もちでついていくと。(笑)そういうところへ行くと絵も描けますし。      で、描いてるとすぐひっぱられて次の買い物へつれてかれる。(笑) 司:そろそろお時間のようですが、最後にみなさまに一言。 吉さま:ええ、お暑い中をどうもありがとうございます。僕、お話が苦手で・・・面目しだいも     ございません。 司:いえいえ、チケットとるの大変なんですよ、争奪戦で。 吉さま:え!ありがとうございます。では、次回もよろしく。(笑) 司:中村吉右衛門さんでした。第2部は15分の休憩の後にはじまります。お楽しみに。
 15分の休憩のあと、幕があがる前から、派手なお囃子が、かなり長く鳴ってました。 はずむ期待。血が騒ぐ〜。と、幕があがると、青い毛氈(一畳ラグよりちとちっちゃめ) に行儀よく正座される吉さま。(眼鏡着用)書見台(っていうの?木彫りの由緒ありげなやつ。 初代ゆずりのものかしらん)お囃子さんをバックに読みはじめる。もさく?みのきち? ん?始まって3分くらい何の物語が私はわかりませんでした。雪女〜。残暑納涼会? むか〜し、わしは、お前によく似たおなごに会ったことがある。それは美しいおなごで… …あれほど、言ってはいけないと言ったのに… 私じゃーーーっ!お雪じゃーーーっ! と、雪女はかましつつ、それでも、二人の間にできた10人(!)の子供の幸せのためにみのきちを 殺さず、いづれへともなく消えたのでした。小泉八雲作「雪女」終わり。 で、一旦、幕が閉まり、再び開く。そして、お囃子さんの名前紹介。 たなかでんじろうさん、ふくはら◯◯さん(失念)、もちづきたさくさん、播磨屋のお弟子さんの 吉六、吉次郎、吉四郎さんでした。それと、大活躍された、中村吉右衛門さん、もう一度拍手を お送りください。と、一同、深々とお辞儀しつつ、幕はおりたのでした。
禁断症状末期に見た吉さまは、すてきでした。それはもちろんですが、失礼な言い方かもしれないけど かわいい!のよねぇ。そして、禁断症状は緩和どころか、よけーにナマ舞台への禁断症状を 煽る。そして、今年は時間が短かったわ〜。正味1時間5分(だったと思う)ま、しかたないか。 そして、紀尾井小ホールトークショーは恒例になりましたが、たぶんこれからも朗読なのねん。 ま、しかたないか。 というわけで、メモ書きの書き下ろしですので、自分で文章つなげちゃったりしたとこもありますが 大意は違ってないということで、吉さまの声音を思いうかべつつ、残暑払いに読んでいただけま すれば幸いです。  2002年 8月29日