吉さまこぼれ話
1900年代も終わりですな。去年は書かなかったけど、今年は一年を振り返ってみ
ようかな。などと思い、書いてみようと思います。でも、南座の顔見世真っ最中ですけ
ど・・・それには行かれないので、自分が観た吉さま舞台を振り返って。
今年観た吉さま舞台
1月:『石切梶原』『身替座禅』『河内山』
2月:『盛綱陣屋』
3月:『鬼平犯科帳〜血頭の丹兵衛』
4月:『かさね』『寺子屋』
6月:松竹特別公演『鬼平犯科帳〜むかしの男』
9月:『名月八幡祭』『増補双級石川五右衛門』『加賀鳶』
11月:『壷坂霊験記』
ほお、、12本観てるのねぇ。このうち河内山を除いて、すべて初めて観る演目で、個
人的には満足満足といったところ。3月と6月に鬼平でスケジュールが埋まっているのは、
観客動員ができるからなのでしょうが、ちょっともったいない感じ。鬼平は代表作といえ
るものだから年に1ヶ月はしかたないとして、巡業などは歌舞伎でやっていただきたいな
と私切に思います。
今年の私のベスト1は、何と言っても
ゴエ吉さまですっ!
誰が何と言おうとも、どこぞの劇評が「作品の成果自体にさしたるものはなかったが」な
どとワカランチンの言動を吐こうが、あの、大きくて、豪快で、盛りの露もしたたる大輪
の白い花のような、美しい五右衛門を、吉さま自身の役者としての壮年の盛り、いわば嫌
らしくもなく、ひからびてもいない豪華な色気を全身に溢れさせて魅せてくださった。こ
れだけでしばらくは私のベスト1に輝く一本と言えます。
もちろん、自分が感動したからといって、劇評も手放しで褒めろ!などという不遜傲慢な
気持ちはありません。人によっては、「内容がないし、一回観れば十分」という意見もあ
りましょう。宙乗りもぎこちないといえばぎこちなく、8回観てもいっつもハラハラしま
したし。今年の回顧ではない、10月号の演劇界では、納得できる評が書かれてますし。
褒められれば嬉しいけれども、私が回顧の総評のようなところで書かれている「作品の成
果自体・・」云々に怒っているのは、私の目が吉さまへの愛で曇っていることを割り引い
てもあまりに漠然と抽象的だからです。「作品自体としての完成度が低い」とかもっと平
たくいえば「面白くなかった」というのであれば納得はできなくても、そういう意見もあ
るか、、と思いますが「作品の成果」などという一見わかったような、言葉としても見栄
えのよいような、実は全然何も言っていない。という点について、怒ってるわけです。
確かに、私にはわからなくても、脚本が粗いとか、増補というくらいだから、もっと言え
ば寄せ集めのような芝居なのかもしれないけれども、「作品の成果」=観客の興奮・感動・
自腹を切って、劇場へ通う。ということならば「作品の成果」は十分にあったと言えるわ
けで、評者の「作品の成果」っていうのは一体何なのか、私は教えてもらいたいです。
とにかく、私にとっては吉さまがあんなに、美しく綺麗に見えたことはなかった。特に王子
の鬘で、宙乗りで飛んでくるところでは全身の血が沸騰するほど綺麗だった。
出待ちでは「お疲れさまでした。」くらいしか言えない私に「飛んでいらっしゃるときのお
顔がすっごく、綺麗でしたっ!」と言わしめた絶品に綺麗なお顔でした。(今、明かす真実)
脚本が完全でないというのなら、それこそ識者と言われる方々や、吉さま自身のご意見も取り
入れていただいて、再演を望みます。「また観たい!」と熱望させる五右衛門です。その時こ
そは、宙乗りでハラハラさせられるのは御免ですが。ドキドキワクワクはいいけど心配のハ
ラハラは嫌です。
そして、第2位は『かさね』の与右衛門なのですが、今日はこのへんで。(明らかなる手抜
き・・・(^^;)
1999年12月 6日
与右衛門さま・・・美しい。。初め、舞踊劇だし、踊りとなると気絶体質の私。写真などで
いい男の拵えの五分月代に黒羽二重の紋付き、白塗りの男前の姿は知っていたので、楽しみは
楽しみだったけど、それほど期待はしてなかったんです。揚げ幕からいとだて巻いて七三でひ
とふりして、いとだてを開くその瞬間も「美しい!はぁ・・」と感嘆の嘆息をつくほどでわな
かった。がっ、そこからかさねの手をとって本舞台へ行き、踊り始めると・・・花道で、かさ
ねと寄り添って立っているときも視界は吉さまにしか向かってない私なので、吉さましか見え
なくなるのはいつものことなのですが、まぁ、白塗りのナマアシのすがすがしい淫靡。とでも
いいますか、魅せられました。露出された肉体の動きの匂いたつような色気。でも、けして下
品にはならない。進むにつれて、汗の光る白塗りのお顔。襟元の青も汗でぐっしょり。舞台写
真にもその汗のしみが見えます。それほどの汗をかく生身の肉体でありながら、匂いはあって
も臭いはない、その不思議。
「かさね」というくらいですから、かさねを立てて、控えめな印象で。というような感想も
きかれましたが、私はまったく逆。数カ月後、歌舞伎座で「そいえば4月の「かさね」は誰が
やったんだっけ?」とカブキチ仲間さんとマジで話していたくらい、雀右衛門さん=かさねが
すっとんでおりました。雀右衛門さんには申し訳なきことながら、舞台で、与右衛門とかさね
が交互に踊り、片方が踊っていると片方は居どこにいてじっとしてるときがありますよね?か
さねがくどきに合わせて踊っているときも居どこにいる吉さまを見つめていましたから、それ
も無理はないですが。私の場合。
居どこにいるときも伏し目がちに、かさねの恨み言のくだりなどでは、それに合わせて、目線
だけで表情をつくったりするので目が離せません。はい。連理引きで引き戻されて、ぐるぐる
回るとこなど、ふるいつきたくなるほどでした。
実は、舞踊劇では気絶体質と言いましたが、与右衛門は写真で見て是非観たいと願っていた
お役のひとつでした。で、今年の「かさね」を観る前に、某女優さんの踊りの会で、おつきあ
いで与右衛門をなさるときがあったのですが、迷った末行きませんでした。だって、生の女性
と踊るなんてちょっと体温ありすぎ、、、というか生々しすぎる、、というか、正直言って嫌
だったから。(^^;
初めての与右衛門さまに興奮のまま、某書店へ寄り、大旦那に「与右衛門汗みずくでした!」
と感動興奮のため話しかけましたところ「与右衛門がそんなことでは、いけませんですねぇ」と
にこやかに。そう、確かに与右衛門のようなお役で汗みずくでは、いけないのかも。汗だらけで
も涼しい顔で。ということなのでしょうが、私は吉さまの舞台の汗が大好きです。*もちろん大
旦那はにこやかにその場の世間話として対応してくださったのであって、私も内心「そうなんで
すよね〜♪うんうん、しょーがないわん。吉さまったら♪」などと思っておりました。ちなみに
この某書店の大旦那のファンです。はい。心ひそかに「上品なヨーダ」と呼ばせていただいてま
す♪
話がそれました。極論すると「白いナマアシ」に脱魂の与右衛門なのでした。
年末まで引っ張ります。次は3位か。
1999年12月14日
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