おセンチを誘う五郎の顔
2000年 9月27日 国立劇場 故二世 藤間勘祖生誕百年 記念舞踊会
正月の江戸歌舞伎の吉例であった曽我対面の前に演じられた舞踊。本作では、源義経の妾である静 御前と曽我兄弟の顔合わせという意想外の趣向のもと、春の七草の行事の御祝儀にこと寄せ、兄弟が 工藤の館に来たと意気込む様子が舞踊化されている。 五郎=吉さま 静御前=藤間宗家 十郎=菊五郎丈
ええ、奮発しちゃいました。10月の御園座顔見世興行には行かれないので、平日休んで一等席を。 ええ、で、五郎観る前に、吉さまの四女、瓔子さんの「藤娘」もしっかり拝見しましたとも。素直で 振りをきちんと覚えました。な感じの踊りで、まぁ、一般の娘さんで役者でも芸能人でもないので、 これ以上の感想は控えます。しかし、なんとまぁ、萬坊ちゃん時代に吉さまがなさった女方(写真で しか見たことないけど)に面影が似ていることか。。感無量でございました。 引き抜き後見に、吉三郎さんと吉之助さんが出てらしてますます、私、複雑怪奇に感無量でございま す。掛け声も「ようこっ!」に「播磨屋っ!」もありまして、またまた諸行無常に感無量でございま した。
さて、吉さま=五郎 なんですけどもいいっすねぇ。あの前髪のちょっと変わった鬘に、紅のむきみ 隅、水浅黄の裃長袴に蝶の模様、下の着付けは目に染みるよな紅。うーん、ゴージャス。正直に言いま して、前髪の五郎ちゃんの、雅気、若さ、しなやかさ、はちゃめちゃやっちゃうぞー!な危なっかしさ はやはり稀薄でしたが、男らしさ、大らかさ、迫力、茶目さは、十分。目に幸福でした。時分の華の役 者がなさる五郎ちゃんも、少年の細身な感じ、きりきり感、見た目のすべすべ肌の美しさ、技巧以前の ごろー!な良さがあると思います。が、男盛りで内面は余裕しゃくしゃくの、おおどかおおらかビジュ アルではない実力の五郎ちゃんもいいです。本舞台で観たい。吉さまって、光秀のように複雑屈折のよ な役が確かにぴったりです。けれども、荒事系の隅取りの役もかなりはまると思われます。 五郎も毛抜の粂寺弾正も、車引の、紅隅隅だらけの梅王丸も観たい。助六はちょっと、、、かもしれな いけど、矢の根の五郎なんか観たいなぁ。
セリから上がってくる、五郎、静御前、十郎、おお、くるしゅうない。でかい五郎じゃ。凛々しい眉 に、紅のむきみ隅。あら、綺麗。イケルイケル。 25分だし、御祝儀舞だし、内容は曽我兄弟。って言ってるけど、ただ楽しく観ればok。見得も綺麗だ わ、踏み込む足の「トンッ!」とふんごむ迫力もよし。見とれてましたよ。もちろん、静も十郎も視界 に入れてません。何よりも新鮮に感動したのは、肩衣脱いで、深紅の着付けが顕になったとき。 なんか深紅主体で柄がちょっと入ったのを引き抜いて(?)水浅黄の仮襟(?)もすっと取って、ほん とに上半身はまっかか。これが、べらぼーに美しかった。 映像で観た「吉野山」の忠信も袖を抜いて、深紅襦袢(なのか?)になって、深紅が似合うとは感じ ていたけども、ナマで見るとほんとにほれぼれするほど良く似合う。そして、本舞台ではなかなか見ら れない吉さま舞踊。前にも他のページで書いたかもしれないけど、私はかなり吉さまの踊りは好き。技 巧がどうのというのはわからないけれども。男らしい、独特な色気のある踊りだと思う。本舞台で見た 舞踊は、「須磨の写絵」の漁師、「釣女」の醜女、「身替座禅」の玉の井かな?「勧進帳」の弁慶の延 年の舞や、「法界坊」の双面「かさね」の与右衛門も踊り部分はあるけど、特に「かさね」は舞踊劇な んだと思うけど、ちょっと違うよね。 もちろん、↑の中の踊り部分も大好きだけど。 巡業興行で見た「五條坂の景清」「身替座禅」の右京も本興行で観たいなぁ。特に前者。梵字の拵えに ぶっかえって、それはそれはかっちょよかった。 あ、本日の五郎ちゃんの扇の扱いも綺麗でした。鼓の扱いも。動きがとてもはっきりとしていて、そ れでいて邪魔にならず、満足満足でした。 え?褒めてばっかかい!って。お許しあれ。だって、紅のむきみ隅なんて、今度いつ観られるかわから ないじゃありませんか。
それにしても、なんだかくたびれましたわ。そして胸が痛い。秋だからねぇ。。。。。
2000年 9月27日 寝ても醒めても表紙へ