禁欲的な親分


 歌舞伎座 昼の部 4月 3日 い列22番 13日 三階東袖ろ列20番 21日 い列35番

 3日から見はじめたくせに、なんとなく知盛さまあいらぶゆ〜おんり〜ゆ〜なため、中々書けなかっ たおやびん感想文。うーん。立派さ、貫禄、かっちょよさ、居ずまいの正しさ、男っぷり、どれをとっ ても一級品。だけど、のめりこめなかった。もともとが世話物自体にのめりこめない体質らしい私。  着流しに羽織、大漁旗のよな着物(浴衣かな?)黒紋付羽織袴、水野さんちでの丈をうんと短く着た 浴衣姿、そりゃもー目の幸福なんですけども。イマイチ。 おやびん、ストイックすぎる。ど真面目すぎる。 いや、生一本のその貫禄、男気、いいんだけど。注釈つけてすまないが、もちっと、若い頃にはやさぐ れしちゃったこともある。みたいな色気が欲しい。高雅な色気はむんむんなんだけど。  で、筋書きの観翁さんの文章を読んで妙に納得。 曰く「清水次郎長一家のように博奕打ちではない」 曰く「人入れ稼業、今でいう人材派遣業のようなもの。「ような」であって=ではない」 曰く「その「ようなもの」の中でも一流で、大企業なみのスケール。大名に人を世話して「旗本ごと き」のような意識がある。心情的に大名の家来のような心持ちになり、騒ぎを起こしては「うちの殿 さまにすまない」のような心情を持っている。」こんな感じか?  で、目からウロコ。そうか。あのちっと間違えると堅苦しいほどの親分であれはいいのか。そっかそっか。 と半分納得しつつ、しかし、それにしちゃっても立派すぎないか。と。思えば河内山にもそーいう感想 を持つ。直侍とかよりは大悪党で、上さまの傍にも侍るなこともある(?)茶坊主=えっらい人とも繋が りができたりもして。で、貫禄あるのはokなんだが貫禄ありすぎ。贅沢言わせてもらえば、もう少し、 ほんのちょっと“俗悪”さが欲しい。脱線。おやびんに戻る。  腰が低くて、正義感で、男意気の塊で何があってもついていく!と思わせる親分なんですけどね。 いへ、ほれ、以前は武士だったっていう背景もわかるんですけども。そこにもってきて、女房お時が松 江さんでど真面目夫婦に輪をかけてっちゅーか、吉さまの女房役をされること多いんですけど、好きな 役者さんなんですけど、情愛あふれる世話女房はいいんですけど、カタギの女房さんよりカタギっぽい っちゅー。長兵衛さんを想う心や、本心は行かせたくないっつー情愛もわかりすぎるくらいわかるんで すけど、もうちっとキッパリとした侠客の女房さんっぽい方が私は好き。仮に侠客でなく、「一流企業 の社長夫人」であるにしても。優しすぎるし、めりはりなくずっと悲しいきなきな顔だし。  そこにもってきて富十郎さんの水野は、町人ごときとあなどっていつつ、最後に殺しちゃうけど、 「町人ながらあっぱれおよび殺すには惜しい」と腹にあるように見えず、台詞はいつものごとくぱきぱ きととってもわかりやすいのだ けども、後ろに真っ黒な憑依霊を従え、(^-^;ごくごくわずかながら、やっぱりおやびんとのかけあい の台詞の間に微妙なすきまが。。そして、おやびんのひとり台詞のときの三味がこれまた微妙に台詞と 合わないっちゅー。(^-^;  吉さまがご自分で微調整して合わせてたって感じぃ。専門的なことはわからんが、21日に見たとき はそう感じちゃったなぁ。これって気のせいだったか?  13番と14番の客席通路を通って本舞台から花道へ。そこでの啖呵は素敵なんだけど。 元々、舞台の相性は良い組み合わせなんだけど、ちょっと私的には喰い足りない。湯殿での立ち回りは かっこいい。ナマムネ、ナマウデ、ナマアシ露出でね。 度胸の据わったこの胸を〜どっからなりと突いてこい!かかってこい!まではかっちょいい。とウキウ キして見てられる けど、トドメさされて、かろうじて身を起こして断末魔のヒクヒクになるっしょ。 で、幕が自分にかかるか、かからないかで、ぱったりつっぷしてるんだけど、世話もんで顔がリアルな 分、死に様もリアルでちょっと幕切れ重いっす。 上手くできてる芝居だと思うんだけどねぇ。って、「けど」が多くてごめんなさいよ。  そして、昼夜とも最後に最期を迎えるお役の吉さま。長生きしてくださいね。  私のおやびんへの反応度が高い個所はやっぱり長松坊との絡みかなぁ。ちっちゃい子がね、こうちっ ちゃい手をおとっつあんの両肩にあててね、んで隣に座って首もげそなほど仰向いて見てるっしょ。そ こに「天秤棒を肩へかけ、にんじんごぼうを売ろうとも・・」って言い聞かせ、女房を振り切り出てく。 追っかける。
早く、帰って、お・く・れ・よ! (触れてないけど)頭を撫でて、その後に軽く一瞬頬には直に手を触れて顔を見る。感動しつつ嫉妬の 瞬間(^-^; あの子役さあ、背中ぽんぽんされたり、頬触られたり、「達者でいろよ!」って優しく切なくつきとば されたり、羨ましかったわ〜。
 そういうわけで、おやびんとは三度の逢瀬しかしてませんが、あんまり寂しくない私なのでした。 問題は知盛さまとのお別れよね。。5月は一ヶ月だけだけど、吉さま切れ月間だし・・・ そして、もっと心配なのは7月、8月の吉さま切れ月間だわね。例年どおりなら9月には舞台があるは ずだけど。
 そして、正直に告白:もし今月のお役が長兵衛親分だけだったら、ここまで余裕かましたちょっと 冷たいくらいの感想文は書けなかったであろう。多少の不満を漏らしながら、いい男っぷりを褒めそ やしていただろな。が、今月のアタクシは・・・
知盛さま、あいらぶゆーーーーーーーーーーっ!! おんりーゆーーーーーーーーーーっ!! ・・なのでした。(もういいっちゅーねん。(^^;)
 4月24日 夜
寝ても醒めても表紙へ