Y:歌舞伎全体についてお聞きしたいのですが、えっと、私の認識としてはジャンルが3つ(だったか4つだっ たかうろ覚え)あると思うのですが 吉さま:どういうジャンル? Y:えっと、時代物と世話物と○△×と、例えば、こないだの元右衛門とかは時代と世話と両方???で? 吉さま:あ、あれは世話物。上方の芝居は義太夫が入ってても世話物。あれは端敵といって、根は小心者の 小悪党、大谷友右衛門さんていう役者の工夫でね。でも、まさか、鞍馬天狗をやるとは思っていな かっただろうねぇ。。 Y:????? 吉さま:今の雀右衛門さんのご先祖さまがね大きくした役なの。(って、雀右衛門さんが鞍馬天狗やってた ことはほとんど知るまい。。私だって衛星劇場入ってなきゃ知らんっちゅーねん) Y:そういう、端敵っていうもとはあまり大きくない役で魅力はあったのでしょうか? 吉さま:ん、魅力というか、役者として与えられた役には文句は言えない。で、こんちくしょーって注目を 惹く役にしたい一心ってことじゃないかな? 落語に出てくるね、定九郎ってのもそう。最初、山賊みたいなかっこしたかっこ悪い役でね。 Y:私としては歌舞伎ってジャンルは関係なく、んー、キレイで楽しいって感じなんですね。 吉さま:芝居を見ると心が安らぐなり、何か楽しみにきてもらえば。元々念仏踊りから始まったものですから。 楽しんで見ていただければね。たっだ、それが低俗なことで楽しんでいただくか、より高いもので、 レベルの高いもので楽しんでいただくか。・・・ ・・・ここで一番いいのは僕が裸になるのが一番だよね。(その場の注目を惹くだけ。ってことの 例えとしておっしゃったらしいが、突然なので、ちっと客席ひく。) ・・(^-^;いや、みなさん、いなくなるかもしれないけど。。 ・・美しい形式や衣装やらを楽しんでいただくと。例えばお能の衣装を見るだけでも価値がある。 国宝級のを間近で見られるし、それに舞って、謡っていただけますればすごいことだよね。 ただ、そういものが生活の中にないし、僕にしたって、普段は三味の音はないし、洋服で靴だし。 だんだん、根っこのものがわからなくなってきてる。
Y:ワークショップをおやりになってるとか? 吉さま:来年から本格的に小学校でやろうと思ってます。たとえば、今の小学生の親御さんたちにとって 歌舞伎はつまらないと思うし、そういう親御さんでは、子供たちが興味ないのもしょうがない、 いつか何かの役にはたつと思って、はじめます。 Y:新しいものへの挑戦というか? 吉さま:古い中に・・新しいものはある。今、現代見たら古いものは本物ではない、本物はそういうもので しょう。絵画なり、瀬戸物なりは残って、歌舞伎は残らない。残るんだったら僕も新しいものばか りボンボンやっていきたいよう。でも、古いものにかなうわけないもの。 ビデオやフィルムは真実を伝えない。撮った日に間違ってるかもしれないし、たまたま調子が悪かっ たかもしれないし、あれを信じてしまうと難しいですね。 Y:私が初めて歌舞伎を見たのは歌舞伎入門っていうか授業の一環として見たんですね。それで感じたのは 家族で見てみたいと。 吉さま:そういうものですよ。そういう娯楽だったんですよ。むかしは朝から一日楽しんだもの。どなたが 見ても面白いようにできてるんですよ。昔はそうだった。ある時からそれがプッツリ切れてしまって だから、劇場にきて実際を見ていただきたいと。ナマの舞台はそれは違いますからね。オペラはし わぶきしても怒られるけど、歌舞伎はそこまで厳しくないし。(ここで足をほどく)ほんとは飲ん だり食べたりしながら見ていただくと。そういうふうにできるように出来てるんだもん。 よそ向いてても、ぱっと聞こえてまた舞台を見られるように。 僕なんかも子供のころは客席で見てるときはこんぶかじったりね、子供心に音たてて食べちゃいけ ないのは知ってたから、くちゃくちゃはやらなかったけども。ほんとは、くちゃくちゃ食べたかっ たけどね(笑) Y:ご自分でもコンサートとかに行ってすばらしいなと感じたりしますか? 吉さま:オペラとかで、すばらしいなと、拍手しようとすると女房に怒られる。タイミングがあるんだって。 あなた!ここじゃないわよ!って。 Y:歌舞伎でも、一人の人が拍手するとみんなもわあって拍手したり、ありますよね。あれは?どうですか? 吉さま:・・あれは番頭さんに頼んで客席で拍手させてるの。 Y:え?そうなんですか? 吉さま:(苦笑)うちはやってないけど、そういうお家もありますよ。でもいいでしょ?自分は拍手、掛け 声肯定派。そりゃ、黙ってじーっと集中して見て感動してくださってる方もいるのがわかってはき たけど、こっちも熱中してやってるとわからないものねぇ。だから、こういうトークでもね、お客 さまが笑ってくださると、また、こっちが乗るという、お客さまは芝居なり、コンサートなりを盛 り上げてくださるもの。お客さまにはリラックスして楽しんでいただくのが一番かな。多少のこと には目をつぶって楽しんでいただく(笑) ・・ここ、何人くらい入るの? Y:え、はい。330人くらいです。えっと、時間もせまってきましたので、ちょっと質問のある方は どうぞ。 吉さま:そうなの。残念だな(笑)
質問者 男性:光栄です。七段目の平右衛門と由良之助の違いを教えてください。 吉さま:うーん、由良之助さんは今で言ったら小泉首相のような人じゃないですかねぇ。(笑) 平右衛門は、自分がある程度出ても大丈夫な役なので、兄妹愛、一途な人間、このままやっても なれますね(笑)由良之助の方が創っていく上で緊張します。 質問者 またまだ男性: 紅葉狩を拝見したのですが、私が見たとき山神の首飾りが切れて・・ああいう場合緊張しますか? 吉さま:ああ、あれは・・うちのお弟子のミスというか、僕がチェックしといてってチェックしとかなかっ たのが悪いのでね、あとでチェックしておくように言いました。切れるというより、外れちゃうん だね。緊張はしませんけどねぇ、ぱあっとはじけていけばいいんだけど、ぽろんぽろんって。 激しく動き踊る役なので、あれを素足で踏んだら、激痛、痛いだろうなあと。 玉(?)の方はぱーって遠くに飛んだけど、勾玉の方は残ってたので、それを避けながら踊ったと いう珍しい踊りでございます。はい。 質問者 女性: 光栄です。私ではなく、母が見たときに、岩藤をなさったときなんですけど、観客がどよめいて 笑ってしまったという、ああいうお役はどうですか? 吉さま:ああ、あれはね、元々立ち役がやるものでして、笑ったのはでかすぎたせーだろうと。(笑) あれは、憎憎しげに見えればいいので、僕もでかい体を生かしてやりました。ただ、あれと仁木 を変わるとねぇ、(???ん、鏡山と先代萩を混同されたか?わからなくもないが。いや、私の 聞き筋間違いかな?)
Y:そろそろお時間ですので、抽選で2名の方に吉右衛門さんのサインを・・ 吉さま:ああ、残念ですねぇ。(笑)あ、抽選、何かひくの?では、だてメガネを。。(笑いながらメガネ をかける。)・・・まず、一等賞(笑)じゃないや、38番の方、(当たった女性が出てきてサイ ンを手ずから受け取る。)はい。なんだか卒業式みたい。(笑) 次は、163番の方、はい、お気をつけてお上がりください。 当たった女性2:わあ、思いがけなくて〜。 吉さま:はは。私も思ってもみませんでした。(笑) Y:ありがとうございました。最後に吉右衛門さんに私たちからの感謝の気持ちを(と花束用意) 吉さま:はい、私に何かいただけるの?(笑)ありがとう、と花束を受け取り、間・・上を見上げて あ、幕は降りてこないのか、あっち?と下手を指さし、 では、皆さま、劇場でお目にかかりましょう。
と去っていかれました。終わり。2002年11月12日 夜
寝ても醒めても表紙へ