顔世はほんとうにほんとうにほんとうに(シツコイ)もろの〜さんが嫌だったのか?


 2002年10月14日、19日  歌舞伎座 昼の部


 高武蔵守師直さんに惚れました。もろの〜〜〜さ〜〜〜ん。今月、予定では、昼の部 は一回しか観ない。はずでした。んが、嗚呼、発作チケ松で、都合三回観ることに。。 これぞ、恋の力、今こうして、浮かんでくるのはもろの〜さんの台詞ばっかり。 いや、由良さんも良かったですよ。当代一の由良之助役者だと確信していますよ。でも、 やっぱり、由良さんだったら、四段目も観ないとねぇ。七段目だと、おっとりと馥郁と ゆったりと大人で駘蕩な雰囲気の由良さんで、これはこれで姿のいい惚れる男なんです けども、やっぱり、吉さま由良さんだったら、四段目の慌てず騒がす、初一念を胸に秘め 肚はどっしり、殿さまの無念も何もかもを呑み込んで、なおそのうえで、苦悩して苦悩し て苦悩して秘めて秘めて秘めて初一念のみを貫き通そうというきんぐおぶ苦悩の由良さん でないと、物足りません。私的には。いへ、くどいですが、七段目の由良さんとしては 絶品ですよ。はい。
しかあし、もろの〜さんは発散しまくる。忠臣蔵で唯一言いたいこと言いの炸裂発散し 放題な役じゃないですかねぇ。そして、吉さまの“悪”にはちと懐疑的な私ですが もろの〜さんって、“ウルトラ級にヤな奴”ではあるけれども悪人ではないように 感じるんですね。はい。いえば、とっても快楽主義な人ってだけでしょ?権力をかさ に着てるっても、実質的な権力者じゃないし、どちらかというと、文化人的官僚みたい なもんで国を乗っ取る悪人でもなし、誰か特定の個人に憎悪を燃やして、いじめてるわ けでなし。 標的になった人には気の毒だけど、「カンに障るやつ」くらいの感覚で、本人としては 嬲って遊んでるわけでしょ。判官に対しては、その女房にふられたってことで、個人的 やつあたりだけどさ、それでも、くどいてくどいてくどきぬく〜って宣言してたわりに は、あっけなく怒っちゃうしさ、どーしてもモノにしたいって執着があれば、一度断ら れても別の方法を考えるわね。恋慕といい、懸想といい、言葉はどーあれ、もろの〜さ んの顔世に対する想いは、ずばり欲情でしょう。あーいう、清楚で貞淑で、美しい加虐 嗜好をそそられるよな女が好きなのかしらん。万が一、顔世が応だったら、どんな濡れ 場になるのか、ぐっふふふ。。。・・・って、脱線。。(^-^; だから、プライドが高いということもあろうし、そんなに真剣に顔世をわがものにした いってことでもなかったように思うんだわ。役得で一回くらいお願いしたい。。くらい の気持ちじゃなかったのかなあ。ゲーム感覚だよね。きっと。
 気持ち良いくらいヤなやつで、憎らしくて、あそこまで嬲られたら、 判官がキレちゃうのも「短慮」の一言では片付けられんわなあと判官に共感をもたせて くれるもろの〜さんだけど、不思議とそこに陰湿でいやあな感じはないわねぇ。 底のある悪党じゃないせいと、吉さまの品格と立派さと色気と愛嬌と人間らしさと諸々 が理由でしょう。 それと、どーんなに悪役で敵役でいやあなやつでも、嫌悪感をもよおすよな役にしてはい けない、どーーーんな役にも色気が必要っていう歌舞伎の掟(そんなのあるのか?) ってことかなあ。あとは、台詞の心地よさですわねぇ、緩急自在よね。たたみかけるよな とこも、ちょっと滑稽なとこも、いかにも威圧感たっぷりの敵役の立派な声音になるとき も。やっぱ、この流れるような酔わせるような台詞あってこそ。鮒だ鮒だっ鮒ざああむれ ええだあああ!の部分だけでも何度も聴きたいような台詞の巧さ。堪能できるねぇ。 それと、好色さね、ずばり顔世への気持ちは欲情なんだけどさ、セックスに飢えてるガキ んちょでもなきゃ、別に相手に不自由してるわけでもないオジサマでしょ。(というより 老体って自分のこと言ってるから、オジイサマだわね)そのオジサマが、こともあろうに ああた、触れもせず、言葉もかわさず、離れたとこから見ただけで、下半身が反応して しまうという(んま、お下劣)好色さ。これは、想像力の好色さだわね。巨乳アイドルの これでもか写真を見ないとコーフンできないよな、脳みそない男とは違う、頭脳で欲情し ちゃうインテリっていうかねぇ。それで、体も反応しちゃうくらいだから体は若いのだわ よねぇ。生命力旺盛な証よねぇ。で、教養もあるでしょ〜。文学、儀礼式典、たぶん、 茶道やら歌道やら華道やらも好きよねぇ。絵も書も。そして、きっと喰い道楽だろうし 大金持ちじゃないにしても、かなりな裕福なお家だろうし、何かにつけて快楽主義なんだよね。 ぜひ、おつきあいしたい。(不純でごめんなさ〜い。ただの、妄想願望だけですぅ。)
 で、自分のこと一番大好きちゃんなんだよね。 だから、賄賂もらっちゃえば、360度回転して逆立ちしちゃうくらいペコペコしても プライドはぜーんぜん傷つかない。だって、最初から、対等な人間だと思ってないからね。 あのぺこぺこ謝るとこで、卑屈さが出ちゃったらいけないと思うんだけど、見事になかった 卑屈さ。    でも、あそこまで単純だということは、屈折した悪じゃないでしょ。それなら、操縦 しだいでどうにでもなる気がするのよね。で、たぶん、周囲の自分の味方や、身内には そこそこ優しいんじゃないかなあ。あ、そうそう、彼は“冷酷”でもないのよ。 心からつめたあい残酷さは持ってないと思うな。だから快楽主義者なんだよね。 だから、アタシは、精力あって、インテリでお金持ちで抱かれごごちがよさそうなもろの〜さ んに惚れましたわ。楽しいと思うよ〜。もろの〜さんって、嫌われてる人以外なら、 きっと一緒にいて、すごく楽しい人だと思うな。どうお?(っていわれても。。(^_^;)) 最初は、欲情だけから始まった、そんなオジサマとの関係を、逆にめろめろに翻弄しちゃう 夢を見るのも楽しいしね。  判官さんはかわいそうだとは思うんだけど、反面、若狭之助や、判官さんを苛めて、 嬲ってるもろの〜さんに、一種、爽快感を感じたり。。。しない?ひょっとしたら、 心情的には、サドなのだろうか。。アタシってば。(^_^;)  あとは、なんといっても、ナマっぽい男の人の色気が溢れてたからかなあ。 苦悩しまくる吉さまも大好きだけど、のめりこむよに共鳴しちゃって、ぐったり になっちゃうから、コーフンしつつも、爽快に肩のこらないヤなやつもろの〜吉さま にこんなに惚れてしまったのねぇ。いや、ほんと、気持ちいいのよね〜。  と、大序の最後、段々のところで、黒い大紋の袖をばっさーっとひろげて、そっから 見得をきめたところなんざ、漆黒の怪鳥、デモーニッシュな怪物のよで、大きかったで す。あんな妖かしになら浚われたい。。。嗚呼…  妄想心満たされまくった。高武蔵守師直でした。愛してます。。。ぽっ。。。 たたたたたたたたた。。。
 2002年 10月21日 夜 記