村山かたばみ
4月 3日、14日、25日 歌舞伎座〜昼の部〜
実は今年の中村会、昼の部2回、夜の部2回と決めていた。余裕があったら(いやな いんだが(^^;)夜の部を1回増やそうかなぁと。だって、「かさね」って舞踊劇だし 舞踊って失神しそうになるし、いや、吉さまの踊りは大好きだけどね。松王さまは16 年ぶりだし、定評ある義太夫狂言だもんね。でもでも与右衛門さまの方に身も心も溶解 してしまい、昼の部のが1回増えてしまった(*^^*)やっぱ3回目も良かった。禁断の家 賃に手をつけ・・・してしまったけど・・・(^^;観てよかった。連理引きのとこがよく 見えたし、雀右衛門さん=かさねをエスコートするよな男ぶり。。。ほわほわ〜ん♪ビ デオで確認したんだけど、「んじゃ、一緒に逃げるか」の場面で土手の上へかさねを導 くとき孝玉コンビは傘を使って(2人の間に傘があってお互い端っこをもってる)昇っ てたんだけど、吉雀コンビは「手」・・・こう手を取って・・・ぽーっ(思い出し崩壊 ・・・)吉さまの手は爪はぴかぴか桜色の綺麗な手だが、手全体は繊細というより男ら しいわりとごつい手だけれども、手の表情は美しく繊細(*^^*)でもね、喰い入るように 観ても、悲しいかな記憶は薄れてしまうのよねぇ。最後の幕を切るときに25日は片肌 脱いで、薄〜い水色の襦袢を露出してたけど、その前のときは袖に入れてたような気が ・・・ 嗚呼、修行が足りんわ・・・伝統文化か国営放送で放映しないかなぁ・・それより収録 してんのかな?一目惚れより3年あまり、初の吉さま舞台写真全種購入を成し遂げまし たっ!そのかわり観劇日に1回もご飯食べませんでした!愛は食欲を超えるね(*^^*) って、帰宅してから食べてるけど・・・(^^; *1999年 4月27日 記
楽しみにしていた色悪である。そして私は吉さまの舞踊がとても好きで、確かに科 白の素晴らしい方で義太夫狂言での物語りなど惚れぼれするし、大抵の評論や記事に は必ずといっていいほど、「科白の巧みさと重厚な演技」のようなことが書かれている。 私もそれに異論はないのだが、それと同じくらい吉さまの舞踊が好きだ。技巧がどうの はわからないけれどもとても一生懸命真面目に踊ってらして、かといって男の色気も濃 厚なちょっと独特な踊りである。 で、与右衛門さまはどうだったかと言うと・・・
ぶっ壊れましたっ!
もともと本能を信じて観劇していて、あらすじぐらいはざっと読むけどあとはただそ の舞台が私を酔わせてくれるかどーか・・・が基準の私ですが、『色悪』という言葉に は多少こだわりがあり、 こだわり其の一:白塗りで姿形が美しい。 こだわり其の二:薄情で冷酷でいい加減でその場限りの、頭は悪くないが深くものごと を考えたりしない。なのに女を惹きつける。 こだわり其の三:ナルシスくんで、倒錯した美しさ。悪の魅力、堕落の美、腐乱すれす れの色気があり、でも、すっきりしていて開き直った潔さのようなも のを体現している。 で、ぜんぜんっ悪には見えない。薄情にも冷酷にも、深くものごとを考えないように も見えない。 与右衛門という奴、知らず知らずといえ、母娘と通じていて、その夫、父にあたる俗 名助とやらを殺している。かさねと心中すると言いながら、一人で死ぬと書き置きを残 し、でもほんとは死ぬ気は毛頭なし。恋は盲目のかさねに追いかけられて、その場しの ぎの甘い言葉を吐き、連れて逃げて一緒に死ぬと言ってみたり、かさねの父母との因縁 が分かると「これも因果」とか訳のわからんことを言い、結局、邪魔で与右衛門との子 を宿しているかさねを足出まといで殺してしまう。。自分本位の情を知らぬ男。 ・・・のはずだけれども、「ちっ!この女邪魔ったいぜ、うざったいぜ」っていう感じ がしない。頼りなく自分なりには真剣に生きたけれどもどーしようもない「宿命」に操 られ人間の力ではどうにもならないものに翻弄されている情のある男に見えてしまう。 どの場面でもかさねを見る目が諦念を含んだ優しさと憐れみをたたえ、振り払うために 殺すのでなく、抗えない追いつめられた中で、仕方なく殺すといった感じ。 かさねの手と合わせている手は温かいのだろうなと思わせる。たぶん色悪なら冷たい手 であろう。 だから、私の色悪のイメージとはまるで違っていたのだが、、、この吉さま与右衛門 の優しさ、情、色恋の他にもたぶんきっとあまり幸福ではなかったであろう、与右衛門 の人生の影が感じられて、陽の優しさでなく、陰の優しさにめろめろにされました。 私見ですが、どんな役をおやりになっても何かしら、考えている、もしくは心に屈託が ある・・・ように感じられます。もちろん役の上で・・・ということですけど。やっぱ りちょっと複雑な色々なものを抱えている人間に見えるんですよ。 ま、理由を考えるのはこれくらいにして、まず見た目は美しい。なんてんでしょう、 匂いたつような男の色気といいますか、雨に濡れた髪はしどけなく、大きくはしょった 着物の裾。そのために露出している白塗りの素足・・・他の演目でもそうなのですが、 吉さまの着付けのあしらいといいますか、ちょっと役の人物になられたままで襟元や裾 を直したりする手の表情が私は大好きなのですが、あと小道具の扱い。手ぬぐいだった り刀だったり煙管、懐紙の扱いとかね。武士のときの袴や裃をしゅっと整える仕草も好 きですねぇ。大好きなんですけど、襟元や裾をかなり頻繁に吉さまって、気にして整え てるなぁと感じるのは私だけでせうか?与右衛門ではやはり、裾の内、ふんどしを直し てました。直すというより整えるって言うのかな。 花道をいとだてをかぶって出てきてぱっと開いたときの(あのむしろ「いとだて」って 言うのね。筋書き参照)鮮やかな美しさはちょっと控えめかもしれない。踊りが進むに つれて熱気が満ちてくる。立ち回りのような振りも多いし、動きが激しい。最後のかさ ねを殺して、逃げる、一旦花道を引っ込む。怨霊となったかさねに引き戻される。「連 理引き」っていうんだそうな。もー汗みずく、汗だく、汗みどろ。。。動きのカタルシ スを感じました。あの汗に私はなりたかった。。。そして幕を切る見得。イッちゃって る汗できらきらしたお顔。舞台でかく汗について、好き嫌いはありましょうが、また色 悪が実際はどーあれ、汗みずくに見えていいのか?ということもありましょうが、私は ・・・・・汗になりたかったです・・・・・
そしてこの与右衛門さまを観て、私が一番言いたかったことは・・・ファザコン・ ジジフェチの私としては本当に珍しく女として男の与右衛門を感じたということです。 ちょっと恥ずかしいけれども、欲望を刺激されるようなね。 で、筋書きの出演者コメントみたいのに「僕はフェロモンがないのか、好きになって 追っかけても相手にされません。与右衛門はそんな僕とはまったく違いますが(以下略)」 ・・・フェロモンは全開でした・・・ひょっとしてもしやして与右衛門より100枚く らい上手の「色悪」ならぬ「色良」さんだったりして・・・(^^;吉さまってば。 ということで、今年の中村会は与右衛門さまの方が、松王さまよりはまってしまった私 でした。 *与右衛門の黒の紋付き。揚羽蝶かと思いきや、村山かたばみ(替紋)だったんですね。 そいえば仁左衛門丈の与右衛門のときも丸に二引きでなく、追いかけ五枚銀杏(替紋) だった。与右衛門のときは替紋と決まってるのかしらん。 *1999年 4月14日 記
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